機械の故障
 
ここでは機械側の故障の代表例を解説します。
機械の一部が作動不良になっても、不良個所によっては応急処置で動かすことができる場合があります。
ただし、応急処置については、それを行うことにより生じた弊害等について、弊社では一切責任が持てません。
自動機器に精通されていて、弊社の機械構造を理解できて、なおかつ、急を要する場合のみ行って下さい。
故障が起こった場合は、修理のついでにオーバーホールを行うことを奨めます。
 なお、故障の原因がはっきりしていない場合、先に「フローチャート」を読んだうえで、どのような故障か判断をして下さい。
 
 重要 スイッチを入れても機械が動作しない場合、まず始めに設定を確認して下さい。
    故意に動作しないよう設定できる機種があるため、設定ミスにより動作しない場合がよくあります。
    また、修理が済んだら必ず空運転を行って下さい。
 
 
 エアーシリンダーが動作しない
 
最初に、噛み込みや引っかかりが無いか、機械周りを点検して下さい。
電磁弁の排気マフラーも忘れずに点検して下さい。これが目詰まりを起こすと、動作が遅くなったり、動かなくなる場合があります。
他に異常が無くシリンダーが動作しない場合、電磁弁(切替弁)の作動不良が一番に考えられます。
電磁弁の作動不良の原因として考えられることは、エアーの汚れや長い間動作させない事による固着、水分を除去しなかったために起こる氷結等が考えられます。エアーの管理にはくれぐれも留意願います。
氷結が考えられる場合、しばらく時間をおいてから動作させ、氷結の有無を確認して下さい。
また、エアー漏れが無いか、シリンダーや電磁弁の周りを点検して下さい。電磁弁の排気部分からエアーが漏れている場合、シリンダーピストンや電磁弁スプールのオイルシールのヘタリが考えられます。
もし連装の電磁弁であれば、それにつながっている全ての機器を点検する必要があります。
 
 不良個所の特定
動作しないシリンダーの配管をたどり、電磁弁を特定します。それから電磁弁本体の手動用釦(スイッチ)の動作確認を行って下さい。これには回転タイプや押し釦タイプ等があります。どこをどうすればエアー回路が切り替わるか、釦は正常に動作するか等確認しておきます。(別項「保守一般」を参照)
 信号の確認をするため機械のスイッチを入れ、シリンダーが動作するであろうタイミングで、電磁弁の切替音がするか確認して下さい。音がうまく聞き取れない場合、手で触ってみるとよいでしょう。電気に詳しい人がおられる場合、電圧を測定するのが早道です。この作業により信号がきていれば、電磁弁またはシリンダーの作動不良です。信号がこない場合は、断線または制御盤の異常が考えられます。断線検査では制御盤側と本体端子台の両方で出力を測定して下さい。断線ではない(制御盤から信号が出ていない)場合、弊社まで連絡して下さい。
 次に、電磁弁本体の手動釦でシリンダーを作動させて下さい。これで動作すればシリンダーには異常ありません。
 

 
 上記で不良個所が特定できない場合、さらに配管をたどり、ストップバルブがあればそれを閉じて下さい。バルブが見つからない場合、メインバルブを閉じるか、コンプレッサーを止めて下さい。
バルブ以降の配管のエアーを抜き、動作しないシリンダーにつながれている配管の全てを外します。配管は1本の場合や2本、またはそれ以上の場合があります。エアーを抜くには、フィルターのドレンコックを緩める、または、動作するシリンダーがあれば、それを数回動作させるとエアーは抜けます。
 この状態でシリンダーを手で動かしてみます。(例えば弁用シリンダーの場合、弁を手で引っ張るなど)
通常、シリンダーに荷が掛かっていないならばこれで動くはずです。もし、動かないようであればシリンダー
ロッドの固定ねじを緩め、シリンダーをフリーにして(フリーにできる場合)ロッドを動かして下さい。
これでも動かないようであれば、シリンダーに問題があります。
問題がシリンダーにあったとしても、念のため電磁弁も検査したうえで交換して下さい。
 シリンダーが動くようであれば、電磁弁の検査に移ります。バルブを徐々に開け、外した配管のどれかからエアーが出るのを確認して下さい。このとき配管チューブが暴れる事がありますので、これを押さえて(手に持って)からバルブを開けて下さい。
外した配管からエアーが出ない場合、手動用釦(スイッチ)を動作させて下さい。それでもエアーが出なければ、電磁弁にエアーが来ていません。電磁弁までの配管を調べて下さい。
手動用釦を動作させてもエアーが切り替わらない場合、(配管が1本の場合、エアーはオン−オフする。配管が2本の場合、エアーは切り替わる)電磁弁のスプールが固着しているか、損傷していると考えられます。
固着の場合、電磁弁を分解し、少量のオイルを塗布すると良くなる場合がありますが、できれば交換することを奨めます。損傷している場合は交換となります。
 
 電磁弁が故障の場合、手元に口径が同じくらいで作動電圧が同じ電磁弁があれば、それを代用することもできます。急を要する場合はそれを取り付けて下さい。
シリンダーもストロークが合えば代用できますが、取り付け部品の制作費、時間などを考えると純正部品を使った方がよいと考えます。
 
 電磁弁の代用品取付
シリンダーへのチューブが届く場所へ代用品を取り付け、シリンダーからの配管を接続します。
レギュレータ(減圧弁)より後ろ(電磁弁側)の配管を分岐させ、代用品に接続して下さい。
(マニホールドタイプの電磁弁が使用されている場合、エアー供給口が余っていることがあります。その余った供給口より配管してもよい。)
不良電磁弁のシリンダーへの配管穴にプラグをし、配線を外して下さい。
外した配線を代用品に接続すれば作業完了です。配線は通常2本あります。極性はありませんから、どちらへ接続してもかまいません。
空運転を行い正常に動作することを確認のうえ計量を再開して下さい。
 
 
 エアーシリンダーからエアーが漏れる
 
エアーシリンダーのロッド部からエアーが漏れている場合は、エアーシリンダーを交換して下さい。
分解点検してシリンダーの内側に傷がなければシール交換で直りますが、傷があった場合二重手間になります。
電磁弁の排気穴からエアーが漏れている場合も、エアーシリンダーの損傷が考えられます。
この場合、シリンダーへの配管を外し電磁弁側にプラグをし、エアーを入れてみます。この状態で電磁弁を作動させ、エアーが漏れれば電磁弁が損傷しています。エアーが漏れなければエアーシリンダーの損傷です。

 
 モーターが回らない
 
噛み込みや引っかかりが無いか、機械周りを点検後、制御盤内のサーマルを点検して下さい。
通常、サーマルがトリップすると警報が出ます。詳細は別章「制御盤」の「警報」を参照して下さい。
先にサーマルトリップが発見された場合でも、必ず機械周りを点検して下さい。
 上記で異常が発見できない場合、不良個所を特定するための作業が必要です。
まず、モーターと接続機器との縁を切り、(チェーンで接続されていればチェーンを外す。直付けの場合モーターを外す。等)モーターと機械側を別々に点検します。
 
 機械側の点検
パーツリスト等を用意し、構造を確認しながら点検を行って下さい。十分な点検を行うには分解も必要です。
不具合箇所が判明したら、部品の損傷がないか確認し復旧して下さい。
 
 モーターの点検
モーターの点検では、まず、起動時の状態を確認します。この作業は二人以上で行います。
一人は制御盤のスイッチ操作、もう一人はモーターの状態確認のため機械のそばに行き、ほんの少しの間だけ(1〜2秒間)スイッチを入れて下さい。
 
  手順 1.制御電源を入れる。
     2.始動スイッチを入れる。(1〜2秒間)
     3.始動スイッチと制御電源を切る。
 
これでモーターが回るようであれば、もう少し長く(10秒程度)回して下さい。
それでも異常がない場合、連続で回し発熱や異音等がないか検査します。
機械側に異常が発見された場合、この検査でモーターに異常がなければ機械側の修理だけで作業は完了です。
モーターが一瞬回ろうとする。または、まったく回ろうとしない場合は断線の検査を行い、断線が発見されなければモーターの不良ですから交換の必要があります。